レインウェアは「いざというとき着る」道具じゃない。稜線で強風雨にさらされたとき、行動中に体温を奪われないための最重要装備だ。
「とりあえず安いので」という選択は、山の中で高くつく。この記事では中上級者が実際に選んでいるレインウェアを9本に絞って比較する。ゴアテックスか独自素材か、軽さか耐久性か——それぞれのキャラをはっきりさせた。2026年SSはRabから注目の新作が2本登場したので合わせて紹介する。
- レインウェアの選び方:中上級者が気にする3つのポイント
- 6モデルスペック比較表
- ① Teton Bros. Feather Rain Jacket|軽さと耐摩耗性を両立した国産の傑作
- ② モンベル ストームクルーザー|コスパ最強、第10世代で透湿性がさらに進化
- ④ Rab Flashpoint 2.0|クライマー発のブランドが作る本気の山岳シェル
- ⑤ Rab Downpour Plus 2.0|2.5Lで軽快・コスパよく選ぶならこれ
- ⑥ Patagonia Granite Crest|Torrentshellから軽量性と動きやすさを強化したモデル
- ⑦ Rab Phantom Jacket|トレランレース・超軽量派の最終兵器
- ⑧ Rab Phantom Mountain Jacket|2026SS新作・軽さとパックアビリティを両立
- ⑨ Rab Firewall Light Jacket|2026SS新作・ストレッチ3Lで動きやすい山岳シェル
- 結局どれを選べばいい?用途別まとめ
レインウェアの選び方:中上級者が気にする3つのポイント
素材(防水透湿メンブレン) はゴアテックスが長らく業界標準だったが、各ブランドの独自素材も実力が追いついてきた。Teton Bros.の「Stretch Cordura Super Durable 3L」、モンベルの「スーパードライテック」、PatagoniaのH2No、RabのPertex Shield——それぞれ透湿性・耐久性・重量のバランスが違う。
重量 は「軽いほどいい」というわけでもない。200g以下の超軽量モデルは生地が薄く、岩場でのすれや枝への引っかかりに弱いものが多い。用途に合わせて最低限必要な耐久性を確保した上で軽さを追うのが正解だ。
ヘルメット対応フード は積雪期・沢登り・バリエーションルートを視野に入れるなら必須。夏山縦走のみなら非対応でも問題ないが、将来的に冬山をやりたいなら対応モデルを選んでおくと長く使える。
6モデルスペック比較表
| モデル | 素材 | 重量(M) | ヘルメット対応 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|---|
| Teton Bros. Feather Rain | Stretch Cordura 3L | 195g | 非対応 | ¥41,800 |
| モンベル ストームクルーザー | スーパードライテック 3L | 225g | 対応 | ¥22,000 |
| Patagonia Torrentshell 3L | H2No 3L | 400g | 対応 | ¥27,500 |
| Rab Flashpoint 2.0 | Pertex Shield 3L | 280g | 対応 | ¥39,600〜 |
| Rab Downpour Plus 2.0 | Pertex Shield 2.5L | 375g | 対応 | ¥22,000〜 |
| Patagonia Granite Crest | H2No 3L | 330g | 対応 | ¥39,600〜 |
| Rab Phantom Jacket(トレラン向け) | Pertex Shield 2.5L | 116g | ロールアウェイ | ¥27,500〜 |
| Rab Phantom Mountain(NEW) | Pertex Shield Diamond Fuse 2.5L | 222g | 対応 | ¥33,000〜 |
| Rab Firewall Light(NEW) | Pertex Shield 3L Proflex | 313g | 対応 | ¥35,200〜 |
① Teton Bros. Feather Rain Jacket|軽さと耐摩耗性を両立した国産の傑作
Feather Rainの最大の特長は「軽いのに丈夫」という一点に尽きる。UL系ジャケットにありがちな「薄くてすぐ傷む」という弱点を、コーデュラ素材の採用で完全に克服している。マーチンデール法による耐摩耗テストで20万回以上というのは、ゴアテックスの薄手モデルとは次元が違う数値だ。
195gはトレラン・ファストパッキング・縦走のどれにも対応できる重量で、「1着で全部やる」を実現するジャケット。フードはヘルメット非対応だが、フロントジッパーのないプルオーバーライクなデザインが独特で好みが分かれる。価格は高いが、長く使えることを考えると費用対効果は高い。
ここが好き
- 195gで耐摩耗性が圧倒的に高い
- ストレッチが効いて動きやすい
- トレラン〜縦走まで1着で対応
- 国産ブランドで修理・サポートが充実
強いて言えば
- ¥31,900と高価格
- ヘルメット非対応フード
- 人気カラーはすぐ売り切れる
② モンベル ストームクルーザー|コスパ最強、第10世代で透湿性がさらに進化
40年以上売れ続けている理由はシンプルで、「高いスペックを安く出し続けている」から。2025年の第10世代モデルはゴアテックスからモンベル独自開発の「スーパードライテック」へ素材を変更。透湿性が35,000から40,000g/m²に向上し、より蒸れにくくしなやかになった。
「ゴアテックスじゃなくなった」という批判もあるが、価格を据え置いたまま透湿性を上げてきたのは素直に評価していい。¥22,000でヘルメット対応フード・225g・高い透湿性を揃えたモデルは他にない。全ブランドの中でコスパ1位はこのジャケットで間違いない。
ここが好き
- ¥22,000は全モデル中最安・コスパ圧倒的
- 透湿性40,000g/m²(2025年第10世代)
- ヘルメット対応フード
- 全国モンベルショップでアフターサービスが受けられる
強いて言えば
- ゴアテックスから独自素材への変更で長期耐久性は未知数
- デザインは地味(山以外で着る気になりにくい)
③ Patagonia Torrentshell 3L|信頼と実績の定番。サステナブル派にも
Torrentshell 3Lはオーソドックスな3Lハードシェルの完成形に近いモデルだ。H2No 3L構造は防水耐久性が高く、「雨が降ったとき確実に守ってくれる」という信頼感がある。ピットジップは標準装備で、ハードな行動中の換気にも対応する。
重量400gはこのリストの中では重い部類だが、その分生地は厚くて丈夫。パックカバーの代わりにザックを覆える長さがあり、縦走でのカバレッジは優秀だ。環境への配慮(PFAS不使用・リサイクルナイロン・Fair Trade認証)を重視するなら選択肢の筆頭になる。
ここが好き
- H2No 3Lの防水耐久性が高い
- ピットジップ標準装備
- PFAS不使用・Fair Trade認証
- サイズ展開が豊富
強いて言えば
- 400gはやや重め
- 生地が硬め・動作音が出やすい
④ Rab Flashpoint 2.0|クライマー発のブランドが作る本気の山岳シェル
Rabは1981年に登山家のRab Carringtonが手縫いでシュラフを作り始めたブランドで、「クライマーのために作る」というDNAが今も製品に出ている。Flashpoint 2.0はPertex Shield 3Lを採用した本格山岳シェルで、岩稜帯での取り回しを考えた設計が細部に光る。
280gという重量はFeather Rainより重いが、ヘルメット対応フードを備えた山岳シェルとしては十分軽量の部類だ。積雪期やバリエーションルートも視野に入れているなら、選択肢に入れる価値がある。日本ではMOOSEの取り扱いが確実なので、現物確認もしやすい。
ここが好き
- クライミング・バリエーションを想定した設計
- ヘルメット対応フードの調整幅が大きい
- 280gとヘルメット対応シェルとしては軽量
- MOOSEで取り扱いあり
強いて言えば
- ¥39,600〜と高価格帯
- 在庫が安定しないことがある
⑤ Rab Downpour Plus 2.0|2.5Lで軽快・コスパよく選ぶならこれ
Flashpoint 2.0の1つ下のグレードに位置するDownpour Plus 2.0は、2.5Lのリサイクルポリアミド素材を採用したコスパモデルだ。3Lに比べて生地の軽快さと通気性が高く、ピットジップが大型で換気が非常に快適。「行動中に蒸れやすい」という悩みを持つ人には向いている。
防水性・透湿性のスペックは耐水圧20,000mm・透湿性20,000g/m²と必要十分で、3シーズンの縦走には十分なスペックだ。積雪期や岩稜帯を想定しないなら、コスパ最優先の選択としてあり。
ここが好き
- 大型ピットジップで換気が快適
- 2.5Lで軽快な着心地
- ¥22,000〜のRab入門として最適
- ヘルメット対応フード
強いて言えば
- 3Lより耐久性・防水持続性が劣る
- 375gとやや重め
⑥ Patagonia Granite Crest|Torrentshellから軽量性と動きやすさを強化したモデル
Granite CrestはTorrentshell 3Lの上位モデルに位置付けられる。同じH2No 3L構造でも素材がより柔らかく、行動中の着心地が大きく改善されている。「Torrentshellは防水性は最高だけど硬くてうるさい」というフィードバックに応えた形だ。
重量330gはバランスが良く、3シーズンのテント泊縦走から積雪期手前まで対応できる汎用性が高い。Patagoniaが好きで、かつアクティブな登山向けに快適さを上げたい人に向く。
ここが好き
- Torrentshellより柔らかく動きやすい
- 330gとバランスの取れた重量
- ヘルメット対応フード
- PFAS不使用・サステナブル
強いて言えば
- ¥39,600と価格が上がる
- 在庫・カラーの選択肢が少ない場合がある
⑦ Rab Phantom Jacket|トレランレース・超軽量派の最終兵器
Rab / QWI-17
Phantom Jacket
116gはこのリストで断トツの最軽量。フロントフルジップ+ロールアウェイフードでトレランレース・ファストパッキング向けに最適化されたモデル。全体にリフレクティブ加工で夜間視認性も確保。
116gはこの記事に登場する9モデルの中で最軽量。Feather Rain(195g)よりさらに80g軽い数値で、「ザックに入れていることを忘れるシェル」という感覚に近い。フロントにはフルレングスジップを採用しており、走りながらでも着脱しやすいのがトレラン向けな理由のひとつだ。
ただし2.5Lで116gというスペックは生地の薄さと引き換えだ。岩場での擦れや枝引っかかりに対してはFeather RainやFirewall Lightに劣る。「縦走やクライミングで着るには薄すぎる、でもレースには最高」という位置付けで使うのが正解。
ここが好き
- 116gは全モデル最軽量
- フルフロントジップで着脱が速い
- ロールアウェイフードで走行時はすっきり
- リフレクティブ加工で夜間視認性あり
強いて言えば
- 生地が薄く岩場・藪には不向き
- 縦走・クライミング用途は別モデルを推奨
⑧ Rab Phantom Mountain Jacket|2026SS新作・軽さとパックアビリティを両立
Rab / QWI-71 ★2026SS新作
Phantom Mountain Jacket
2026年春夏の新作。Phantom Jacketのトレラン特化デザインを登山・ハイキング向けにアップグレードしたモデル。Diamond Fuse素材で耐摩耗性を向上しつつ222gの軽量を実現。スクランブリングから山小屋縦走まで対応できる汎用性が特長。
Phantom Mountain JacketはトレランレースのためのPhantom Jacketを、登山・ハイキングで使えるよう設計し直したモデルだ。最大の違いはDiamond Fuse素材の採用で、耐摩耗性を引き上げながら222gという軽量を達成している。
Feather Rainと比較するとほぼ同じ重量帯(195g vs 222g)でポジションが被るが、「ヘルメット対応フードが必要か」「フルジップかどうか」などの使用感の差がある。Feather Rainは縦走・ファストパッキング全般向け、Phantom Mountainはトレラン上がりの人や軽いスクランブリングを意識したいという方向けのキャラだ。2026SS新作なのでまだ流通量が少ない——気になるなら早めにチェックしておくことをすすめる。
ここが好き
- 2026SSの新作・注目度が高い
- Diamond Fuse素材で耐摩耗性アップ
- 222gで登山・ハイキング向けの汎用性
強いて言えば
- まだ流通量が少なく売り切れに注意
- Feather Rainと価格・重量帯が近い
⑨ Rab Firewall Light Jacket|2026SS新作・ストレッチ3Lで動きやすい山岳シェル
Rab / QWI-65 ★2026SS新作
Firewall Light Jacket
2026年SSの新作。Pertex Shield 3L Proflex(ストレッチ素材)を採用し、コンパクト収納性と動きやすさを両立。ショルダーシーズンのハイキングから本格的な山行まで、混合コンディションに対応するオールラウンドシェル。
Firewall Light JacketはFirewallシリーズの軽量版として2026SSに登場した新作だ。Pertex Shield 3L ProflexはRabの定番Flashpoint 2.0が使うPertex Shield 3Lにストレッチ性を加えた素材で、3Lの防水耐久性を保ちながら体の動きに追従する柔軟さが売りだ。
313gは決して軽量の部類ではないが、ヘルメット対応フードとストレッチ3Lという組み合わせは、岩場での動きが多い山行に向いている。Flashpoint 2.0と比較すると「ストレッチ性が高い分、剛性は少し落ちる」というトレードオフがある。コンパクト収納もしやすく、行動中は着て・稜線の待機中は脱いでザックに押し込むという使い方に対応している。
ここが好き
- Pertex Shield 3L Proflexのストレッチで動きやすい
- ヘルメット対応フード
- コンパクト収納対応
- 2026SS新作
強いて言えば
- 313gは重量的にはミドルクラス
- Flashpoint 2.0より剛性はやや低め
結局どれを選べばいい?用途別まとめ
用途別おすすめ
迷ったらまず予算と用途で絞るのが早い。¥22,000で全部入りを求めるならストームクルーザー。軽さと耐久性の両立に¥41,800払えるならFeather Rain。2026SSの新作を早めに押さえたいならRab Phantom MountainまたはFirewall Lightをチェックしておきたい。
※掲載価格・スペックは2026年3月時点の情報です。最新情報は各ブランドの公式サイトでご確認ください。


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