毎年買おう買おうと思いながら、気づけばまたジャケットを丸めて枕にして寝ていた。そういう人間が、山のピローに手を出すのはだいたいシュラフとマットを揃えてからだ。
でも実際に使ってみると、あっさり「なぜもっと早く買わなかったのか」になる道具の代表格がピローだ。80〜100gで睡眠の質が明確に上がる。この記事では登山・テント泊用のピロー4製品を、重量・寝心地・収納サイズで比較する。
- 登山用ピロー(枕)の選び方:3つのポイント
- 4製品スペック比較表
- ① NEMO Fillo Elite(ニーモ フィッロ エリート)|85g・ソーダ缶サイズ、ハイカーに最も選ばれるULピロー
- ② NEMO Fillo(ニーモ フィッロ)|快適性最優先、フォーム+エアのボリューム感がクセになる
- ③ NEMO Fillo Elite Wide(ニーモ フィッロ エリート ワイド)|2026年新作・横向き寝の弱点を克服したEliteの進化版
- ④ Rab Stratosphere Pillow(ラブ ストラスフィア ピロー)|2026年新作・首をサポートするスカラップ形状が独自
- 結局どれを選べばいい?用途別まとめ
- よくある質問
登山用ピロー(枕)の選び方:3つのポイント
重量と収納サイズ は軽ければ軽いほどいいが、80〜100gを切ればバックパッキング用として十分軽い。収納サイズはソーダ缶より小さくなるモデルが使い勝手がいい。
寝心地(構造) は大きく「エアのみ」と「エア+インサレーション(ハイブリッド)」に分かれる。エアのみはパンパンに膨らむと「ビーチボール感」が出やすいが、Iビームバッフル構造のモデルは形状を維持しやすい。エア+インサレーションのハイブリッドは肌当たりが格段に良くなる。
仰向けか横向きか も重要。厚さ8cm前後のモデルは仰向け向き。横向きに寝る人は10cm以上の厚みが欲しい。自分の寝姿勢に合わせて選ぶのが失敗しないコツだ。
4製品スペック比較表
| 製品名 | 重量 | 厚さ | サイズ | 構造 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|---|---|
| NEMO Fillo Elite(ニーモ フィッロ エリート) | 約85g | 8cm | 39×27cm | エア+Zerofiber | ¥7,480 |
| NEMO Fillo(ニーモ フィッロ) | 260g | 10cm | 43×27cm | エア+フォーム | ¥6,930 |
| NEMO Fillo Elite Wide(ニーモ フィッロ エリート ワイド)★NEW | 約113g | 8cm | 53×29cm | エア+Zerofiber | ¥8,250 |
| Rab Stratosphere Pillow(ラブ ストラスフィア ピロー)★NEW | 95g | 10cm | 36×26cm | エア+Stratus™ | ¥4,400 |
① NEMO Fillo Elite(ニーモ フィッロ エリート)|85g・ソーダ缶サイズ、ハイカーに最も選ばれるULピロー
NEMO Equipment(ニーモ イクイップメント)
Fillo™ Elite(フィッロ エリート)
エア+Zerofiber™インサレーションのハイブリッド構造で、85gという軽さながら肌当たりが柔らかい。Iビームバッフル構造がエアセルの形状を維持し「ビーチボール感」ゼロ。ソーダ缶以下の収納サイズはバックパッキングに最適。
「テント泊用ピローで何を買えばいいか」という質問への答えとして、フィッロ エリートはほぼ外れない選択肢だ。PCTやAT(アパラチアントレイル)のスルーハイカーのうち、エアピローを選ぶ人の多くがこれかSea to Summitのどちらかを選ぶ。それだけ信頼されているモデルだ。
重さ85g・収納がΦ8×10cmというのは、ポケットに放り込んでおける小ささだ。Iビームバッフル構造のエアセルが頭を自然にくぼみに収めるため、首が浮いたりする感覚が少ない。Zerofiber™インサレーションは100%リサイクル素材で作られており、寝た瞬間に「布団みたいな肌当たり」がある。ジャージーカバーは取り外して洗濯できる。
弱点は厚さ8cmという点で、横向きに寝ることが多い人には薄く感じることがある。その場合は空気量を増やして対応するか、後述のFillo Elite Wide(フィッロ エリート ワイド)を検討するといい。
ここが好き
- 85g・ソーダ缶以下の収納サイズ
- Zerofiber™の肌当たりが柔らかい
- Iビームバッフルで頭が安定する
- カバー取り外し洗濯可能
強いて言えば
- 8cmは横向き寝には薄め
- 幅39cmはやや小さめ
② NEMO Fillo(ニーモ フィッロ)|快適性最優先、フォーム+エアのボリューム感がクセになる
NEMO Equipment(ニーモ イクイップメント)
Fillo™(フィッロ)
エアチャンバーの上に厚めのフォーム層を重ねた本格ハイブリッド構造で、自宅の枕に最も近い感覚で眠れる。260gとやや重いが、荷物に余裕があるなら睡眠の質を最大化できる一枚。
フィッロは「軽さより快適さを取る」という選択をしたときに行き着くモデルだ。260gというのはフィッロ エリートの3倍以上の重さで、UL志向の人には重く映るかもしれない。ただし、フォームとエアの2層構造が生み出す「ふかふかさ」はエアのみのモデルとはまったく別物の感覚がある。
43×27cmのサイズは横向き寝にも対応でき、フォーム層が頭の動きに追従するため「朝起きたら枕からずれていた」という事態も起きにくい。テント泊2〜3泊の縦走など、ある程度荷物に余裕がある山行でのメイン枕として使いやすい。価格がフィッロ エリートより安い(¥6,930)のも選びやすい理由だ。
ここが好き
- フォーム+エアで全モデル中最高の寝心地
- 43×27cmで横向き寝にも対応
- ¥6,930と全モデル最安値
- 家の枕に最も近い感覚
強いて言えば
- 260gはUL志向には重い
- 収納サイズが大きめ
③ NEMO Fillo Elite Wide(ニーモ フィッロ エリート ワイド)|2026年新作・横向き寝の弱点を克服したEliteの進化版
NEMO Equipment(ニーモ イクイップメント)★2026年新作
Fillo™ Elite Wide(フィッロ エリート ワイド)
フィッロ エリートの幅を53cmまで拡大した2026年の新作。横幅が広くなったことで横向き寝に対応しつつ、エリートの軽量・コンパクトな設計を維持。113gで幅53cmというバランスはFillo(260g)とFillo Elite(85g)の間を埋める新しい選択肢。
フィッロ エリート ワイドは「フィッロ エリートが好きだけど横向きには少し幅が足りない」という声に応えた2026年新作だ。幅が39cmから53cmに拡大されたことで、寝返りを打っても枕からはみ出にくくなった。重量は113gとエリートより28g増えるが、その分横幅の余裕が大きく変わる。
フィッロとの比較では、重量が260g→113gと半分以下になっているのに幅は53cmとほぼ同等。フォームの厚みがない分だけ寝心地は若干劣るが、バックパッキングに持ち出せる幅広ピローという意味では新しいカテゴリを作った製品だ。「仰向けメインだがたまに横向きになる」という人には、エリートよりエリート ワイドのほうが合う可能性が高い。
ここが好き
- 幅53cmで横向き寝に対応
- 113gはバックパッキング圏内の軽さ
- エリートのコンパクト設計を踏襲
- 2026年新作で鮮度が高い
強いて言えば
- エリートより28g重い
- 厚さ8cmは横向き派には厚みが物足りない場合も
④ Rab Stratosphere Pillow(ラブ ストラスフィア ピロー)|2026年新作・首をサポートするスカラップ形状が独自
Rab(ラブ)/ QMB-01 ★2026年新作
Stratosphere Pillow(ストラスフィア ピロー)
ラブが2026年に投入した新作ピロー。首と肩のラインに沿ったスカラップ(波型)形状が独自で、横向き寝での首サポートを意識した設計。95g・厚さ10cmでStratus™インサレーション配合のハイブリッド構造。下面は起毛素材で滑りにくい。
ラブがシュラフやマットに続いてスリーピング用品の横展開を強化してきた中で登場したのがストラスフィア ピロー。最大の特徴はスカラップ形状——枕の片端が波型にくぼんでおり、横向きに寝たとき首から肩のラインにフィットするように設計されている。他の3製品がシンプルな長方形なのに対して、形状で横向き寝にアプローチした唯一のモデルだ。
Stratus™インサレーションは100%リサイクル素材で、湿気を逃がしながら保温性を持つ中綿。10cmの厚みは4製品中最厚で、横向き寝でも首が沈みすぎない。下面の起毛素材がシュラフやマットに密着するため、夜中に枕が滑っていく「ピロードリフト」が起きにくい点も実用的だ。
ここが好き
- スカラップ形状が首・肩をサポート
- 10cmの厚みは横向き寝に有利
- 下面起毛でピロードリフトが起きにくい
- 95gと軽量
強いて言えば
- 36×26cmはやや小さめ
- スカラップ形状は向きによって仰向けに合わない場合がある
結局どれを選べばいい?用途別まとめ
用途別おすすめ
初めて買うならフィッロ エリートで間違いない。85gでこの寝心地なら「なぜもっと早く買わなかったのか」になる。横向きで寝ることが多いなら、2026年新作のフィッロ エリート ワイド(幅広)かラブ ストラスフィア(スカラップ形状)を検討してほしい。
エアマットの選び方も読んでみると、スリーピングシステム全体で睡眠の質を上げるヒントになる。→ テント泊エアマットおすすめ比較はこちら
よくある質問
登山用ピローは必須ですか?持って行かなくてもいいですか?
ジャケットや衣類を代用する方法もありますが、専用ピローを使うと明確に睡眠の質が上がります。フィッロ エリートなら85gなので「重いから置いていく」という理由にならないのが現実です。一度使うと手放せなくなる道具の代表格です。
エアピローはパンクしませんか?
完全にゼロリスクではありませんが、NEMO(ニーモ)やRab(ラブ)の上位モデルは耐久性の高い素材を使っており、一般的なテント泊使用で穴が開くことはほとんどありません。長期遠征では補修パッチを携帯するのが安心です。
シュラフのフードがある場合でもピローは必要ですか?
シュラフのフードは顔の周りを覆う保温機能が目的で、頭・首をサポートする枕の機能とは別物です。フードがあってもピローを使うことで寝姿勢が安定します。両方使うのが最も快適です。
横向きで寝る人はどのモデルを選べばいいですか?
厚みと幅が重要です。この記事の4モデルの中では、フィッロ(10cm厚・幅43cm)が最も横向き向きです。軽量重視ならラブ ストラスフィア ピロー(10cm厚・スカラップ形状)かフィッロ エリート ワイド(幅53cm)を検討してください。
※掲載価格・スペックは2026年3月時点のものです。最新情報は各ブランドの公式サイトでご確認ください。


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